骨粗鬆症
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骨粗鬆症とは、年齢とともに骨量が減少し、骨の構造が崩れ、骨が脆弱になり、骨折しやすくなる状態を指します。この疾患は特に、更年期以降の女性や高齢者に多く見られますが、若い人や男性でも発症する可能性があります。これは、骨の健康に影響を及ぼす様々な要素があるからです。
骨粗鬆症の初期段階では、特に症状を感じることは少ないでしょう。しかし、病状が進行すると、背が曲がり、身長が低下するなどの変化が見られるようになります。これは、特に脊椎骨が弱って圧迫骨折を起こすためです。その他にも、歩行時の不安定さ、肩こりや背中の痛みなどがあります。
さらに骨が脆くなると、軽度の外傷や日常生活の動きだけで骨折が起こることもあります。特に、腰や股関節、手首の骨折がよく見られます。これらの骨折は、痛みや機能の低下を引き起こすだけでなく、一般的な生活活動の自由を制限し、生活の質を低下させる可能性があります。
骨粗鬆症の主な原因は、年齢による骨量の自然な減少と、体が十分なカルシウムを摂取・吸収できない場合です。骨というのは、常に古い骨が壊される(破骨細胞による骨吸収)一方で、新しい骨が作られる(骨芽細胞による骨形成)ことで、新陳代謝しています。しかし、年齢を重ねると新しい骨の生成が遅れ、骨密度が低下します。骨粗鬆症では、骨を壊す働きが新たに作られる働きを上回ってしまうのが、共通して見られる現象です。
さらに、特に女性では、更年期以降にエストロゲン(女性ホルモン)のレベルが低下し、これが骨の喪失を加速させる可能性があります。その他のリスク要因としては、栄養不足、身体活動の不足、遺伝的要因、特定の薬物の使用、喫煙や過度なアルコール摂取などがあります。
骨粗鬆症の診断は、主に骨密度測定によって行われます。当院では、日本骨代謝学会、日本骨粗鬆症学会が作成する原発性骨粗鬆症の診断基準(2012年改訂版)に準拠した『日立ALPHYSA(X線骨密度測定装置)』を導入しています。この装置は、DXA法による前腕の骨密度を測定し、数分で終わる患者様への負担の少ない検査です。精度が高いため、病状の評価と進行度のモニタリングに役立ちます。
骨粗鬆症の治療法には、食事療法、運動療法、薬物療法の3つがあります。どの治療法も、目的は骨密度がこれ以上減らないようにすること、骨の質の向上です。
食事療法では、カルシウムやビタミンD、ビタミンKなどの骨を作るのに必要な栄養素をバランスよく摂ることが大切です。カルシウムは乳製品や小魚、大豆製品などに多く含まれます。ビタミンDは日光を浴びることで体内で生成されますが、食事からも摂ることができます。ビタミンDは魚介類や卵、キノコなどに多く含まれます。ビタミンKは緑黄色野菜や海藻類、納豆などに多く含まれます。
運動療法では、ウォーキングやジョギングなどの適度な負荷がかかる運動を行うことで、骨に刺激を与えて強度を増すことができます。運動は毎日30分程度を目安に行いましょう。ただし、転倒には十分気をつけながら運動をおこなうようにしましょう。
骨粗鬆症の薬物治療には様々な種類の薬剤が存在し、その選択は患者さんの状態やリスク要因により変わります。
当院では、デイケアや訪問リハビリを含めたトータルなアプローチで骨粗鬆症の予防に取り組んでいます。専門の医療スタッフが運動療法や栄養教育を提供し、患者様の骨の健康を維持・改善するお手伝いをしています。もし骨粗鬆症が心配な方や、具体的な治療を希望される方がいらっしゃいましたら、ぜひ当院へお越しください。スタッフ一同、皆さまのご来院を心よりお待ちしております。